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令和4年度大阪優秀発明表彰 受賞決定


  •  昭和51年より、大阪発明協会は、大阪府において優れた発明を完成し、わが国の科学技術の発展に大きな足跡を残した人々の偉大な功績を顕彰するため、「大阪優秀発明大賞」を設立し、大阪府の産業社会の貢献した企業および発明者に対して表彰を行ってまいりました。現在は「大阪優秀発明大賞」と、中堅企業・中小企業を対象にした「大阪チャレンジ発明賞」の両賞を、「大阪優秀発明表彰」として表彰しています。
     そして今年度は厳正なる審査の結果、大阪優秀発明大賞1件、大阪発明奨励賞1件、大阪チャレンジ発明賞1件を決定いたしました。表彰式は、令和5年1月25日(水)大阪工業大学梅田キャンパスOIT梅田タワーにて挙行されました。

  • 令和4年度大阪優秀発明大賞
    (敬称略)

    「海底設置型フラップゲート式可動防波堤」
    (特許第5074367号)

     仲 保 京 一(日立造船株式会社)
     森 井 俊 明(日立造船株式会社)
     新 里 英 幸(日立造船株式会社)
     木 村 雄一郎(日立造船株式会社)


  • (背景)
     近年、激甚化する自然災害や切迫する巨大地震への対応として、防災・減災対策が推進されており、沿岸地域においては津波や高潮から人命や財産を守る防波堤や防潮堤の整備が進められている。 しかし船舶の航路である港口には従来の固定式防波堤を設置することができず、港口から浸入する津波や高潮の影響を低減することが困難であった。 また水際線の長い港においては、水際線沿いに防護ラインを設定すると建設費やその後の維持管理費がかさむことが問題であった。
     これらを解決する手段として、平常時は扉体を海底に倒伏して船舶の通行を確保し、非常時にのみ津波や高潮の影響を低減できる『可動式防波堤』を港口に設置する方法を考案した。

    (課題)
     扉体内に設けた空気室の浮力により扉体が浮上する起伏ゲート式防波堤は、扉体の係留を解除するだけで直ちに浮上させることができる。 しかしながら扉体が海底に伏している時でも風波浪により扉体に作用する流体力によって係留ロープに張力が繰り返し作用し、伸びを増大させるとともに、疲労破断により不慮の扉体浮上を引き起こし、船舶の航行障害となるだけでなく、衝突事故の危険も伴う。
     さらには扉体を海面に浮上させるために係留ロープを切断すると、扉体を再度、海底に倒伏させて係留ロープを固定するのに時間を要し、その間は船舶の往来ができないことも問題であった。

    (本発明の特徴)
     1. 伸縮装置の設置
     水面上に引き出した係留ロープ端に設けた伸縮装置の強バネにより、係留ロープ張力の増減を吸収する。
     2. 扉体の係合およびロープ伸びの確認
     伸縮装置において、係留ロープ張力に追従する強バネに、フック係合を検知する弱バネを直列状に配し、弱バネの伸縮状態で水中にある扉体の係合、さらにはロープ伸びも目視確認できる。
     3. 係留フック着脱用シリンダの設置
     係留ロープの動滑車をシリンダで昇降させ、その動作により扉体の係留フックが回動して扉体の係合が外れるようにした。これにより扉体を浮上させる場合でも係留ロープの切断を不要とした。

    (実用化)
     本発明を使用した「海底設置型フラップゲート式可動防波堤」は、現在までのところ以下の2基の実績を有する。
     ● 2020年12月 岩手県 大船渡漁港海岸高潮対策(細浦地区水門その2)工事
     ● 2022年 3月 兵庫県 福良港煙島水門設置工事
    今後は国内のみならず、アジア・米国への海外展開もはかりたい。

     

  • 令和4年度大阪発明奨励賞
    (敬称略)

    「ツートンカラー仕様踏切舗装板」
    (特許第6141657号)

     清 田   穣(清田軌道工業株式会社)


  • (背景と課題)
     踏切道における安全対策の一環として、車両と歩行者等の通行区分を明確にするため、歩車道境界に縁石等を設置する事例や、歩道部の舗装表面を着色して、色分けにより通行区分を明確にする事例が増えている。舗装表面への着色は、塗料を塗布するケースが多く、車両等の通行や風雨にさらされることにより、次第に剥離が発生し、再着色を繰り返す必要が生じている。
     一方で、踏切道内の軌道部の舗装は、工場で製作した鉄筋コンクリート製やゴム製の舗装板を敷き並べる方式が一般的となっており、舗装板の表層ゴムを単色(グリーン・ブラウン)で着色して、一体成型したゴム製舗装板が既に実現していたため、舗装表面の着色の剥離に対する課題は解決していた。しかし、前述の色分けによる通行区分の明確化を、単色舗装板の組み合わせにより実施する場合、通行区分幅の調整が舗装板幅の倍数のみの対応となり融通が利かなかった。また、軌道と道路の交差角度が90°以外の時は、1枚の舗装板の表面上で色分け区分が必要となるため、単色舗装板の組み合わせでは通行区分の形成が不可能であった。

    (本発明の特長)
     本件発明は、舗装板の表層ゴムを任意の位置や角度で2色以上に分割して着色し、一体成型したゴム製舗装板である。このツートンカラー仕様舗装板と単色舗装板とを組み合わせることにより、踏切道内の舗装の色分けによる所望の通行区分を、自由かつ容易に形成することができることから、踏切道通行の安全性が一層高まることが期待できる。
     


  • 令和4年度大阪チャレンジ発明賞
    (敬称略)

    「歯間清掃用フロスにおけるホルダー内フロス固定方法」
    (特許第7038982号)

     竹 内 俊 文(株式会社広栄社)


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