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平成27年度大阪優秀発明表彰 受賞決定


  •  昭和51年より、大阪発明協会は、大阪府において優れた発明を完成し、わが国の科学技術の発展に大きな足跡を残した人々の偉大な功績を顕彰するため、「大阪優秀発明大賞」を設立し、大阪府の産業社会の貢献した企業および発明者に対して表彰を行ってまいりました。現在は「大阪優秀発明大賞」部門と、中堅企業・中小企業を対象にした「大阪チャレンジ発明賞」部門による、「大阪優秀発明表彰」として表彰を行っています。
     そして今年度は厳正なる審査の結果、大阪優秀発明大賞1件、大阪チャレンジ発明賞1件、各部門ごとに大阪発明奨励賞を1件ずつ決定し、平成28年1月27日(水)大阪大学中之島センターにて表彰式が挙行されました。

  •  


  • 平成27年度大阪優秀発明大賞
    (敬称略)

    「燃料電池用脱硫剤」
    (特許第4096128号)

     高 見   晋(大阪ガス株式会社)
     増 田 正 孝(大阪ガス株式会社)
     永 瀬 真 一(大阪ガス株式会社)
     岡 田   治(株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ)


    • (背景と課題)
       都市ガスやLPG(液化石油ガス)を燃料としたエネファーム(家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)において、燃料中の硫黄分は燃料を水素に変換する水蒸気改質触媒や水素を電気に変換する燃料電池セル本体を劣化させるため、硫黄分を除去する脱硫剤が必要である。従来エネファームでは、取り扱いが容易であることから常温脱硫剤が多く使用されていたが、物理吸着により硫黄分を除去しているため寿命が短い、高価な金属を使用しているためコストが高い、LPGや国産天然ガスに含まれるCOSの除去性能が低い、燃料中の水分による寿命低下が大きいなどの課題があった。
      (本発明の特徴)
       本発明の脱硫剤は、酸化銅と酸化亜鉛を含む担体と担体表面に高分散に担持された酸化ニッケルを、水素などで還元処理を行い銅とニッケルを金属とした状態で使用される。燃料中の硫黄成分は、担体表面上のニッケルと担体中の銅の作用により、水素と反応して硫化水素と炭化水素に転化され、硫化水素中の硫黄のみが担体中の銅や酸化亜鉛で化学吸着により除去される。担体上にニッケルを高分散に担持して反応性を高めたことにより、水添脱硫法と比べて低い水素濃度、低い温度で脱硫が可能であり、硫黄との反応性が非常に高い銅を担体に含むことにより、1ppb未満の非常に低い濃度までの脱硫が可能である。
       本発明の脱硫剤は、硫黄のみを化学吸着により除去するため、常温脱硫剤と比較して少ない量で長い寿命が得られると共に高価な金属を使用していないため低コストである。また、COSの脱硫も可能であり燃料中の水分の影響も小さい。
       本発明の脱硫剤は、エネファーム用脱硫剤としての要件(@10年間の寿命、A低コスト、Bppbレベルの脱硫、CLNGベースの都市ガス、LPG、国産天然ガスなど種々の燃料への対応など)を満たすものであり、エネファームのコストダウンや対応燃料範囲の拡大を可能として、エネファームの商品化と普及促進に大きく貢献している。

    • 【大阪優秀発明大賞部門】
      平成27年度大阪発明奨励賞
      (敬称略)

      「空間用虫よけ剤(虫コナーズ)薬剤含有構造体」
      (特許第5547350号)


       
      松 元 増 夫(大日本除蟲菊株式会社)
       中 山 幸 治(大日本除蟲菊株式会社)
       川 尻 由 美(大日本除蟲菊株式会社)
       鹿 島 誠 一(大日本除蟲菊株式会社)



      • (背景と課題)
         空間用の虫よけ剤である「虫コナーズ」は、樹脂に有効成分を練り込んだ樹脂成形品をケースに収納したもので、その有効成分(及び香料成分)は樹脂成型品の表面からしか揮散しない。初期の製品では薬剤本体が平面ネット状の樹脂成形品を使用していたため、限られた外形サイズのもとでは十分な表面積を確保できず、約60日程度までしか効果を持続させることができないとの課題があった。
        (本発明の特徴)
         本発明では、立体構造体の樹脂成形品を用い、外形が前記の平面ネット状とほぼ同サイズでもその表面積を著しく大きくすることで、上記の課題を解決したものである。
         具体的には、棒状体を波状に形成して波状体とし、複数本の波状体を、その頂部同士で交差させて接合させることにより構成した立体構造体をベースにして検討を重ね、より広範囲に、且つ、より長期間虫よけ効果を持続可能な立体構造体の樹脂成形品(当社で「三次元クロスリンクメッシュ」と呼称する薬剤含有構造体)を開発するに至った。
         当該立体構造体の表面積は、当初の平面ネット状の約20 倍で、これを虫よけ薬剤本体として使用することにより、当社では、より広範囲且つ、効力持続日数が60 日を超える長期間用、例えば100 日用、150 日用、200 日用、及び250 日用(最大366日用まで)等の多種類の製品を上市している。

      • 平成27年度大阪チャレンジ発明賞
        (敬称略)

        「デザイナーがつくった創造力と想像力を刺激する知育玩具」
        (意匠第1492979号)


         
        飯 田 吉 秋(有限会社アイ・シー・アイデザイン研究所)
         黒 田 弥 生(有限会社アイ・シー・アイデザイン研究所)



        • (背景と課題)
           積み木は、子どもの創造力を発展させる玩具として広く普及している。しかし、集合住宅における騒音の問題、素材の人体への影響、子どもが玩具を投げるなど想定外の行動による怪我、環境への配慮など様々な問題などがあることを子育て、孫育てをする中、肌で感じた。 そこで、それら問題を解決し、かつ、幼児・子供の知育や高齢者のリハビリテーションを兼ねた安全・安心に配慮した軟質弾性体の玩具、変化する・曲げる・のびる・元の形状に戻る・張力がある・落としても音が出にくいなど、軟質弾性体のもつ特徴を活かし、かつ、トポロジー現象によりひっくりかえす、おさえたり、ひねったりすることで、三角形がクローバー、四角形が蝶などと形状がかわる、特許第4498467号を発明した。
           この考案をもとに、第1及び第2環状部材を備える弾性成形品の意匠を考案した。2重の環状部材があることで、第1および第2環状部を内周と外周をひっくりかえすことでトポロジー現状が起き、従来にはなかった双方の環状部を二重にひっくりかえすことによりできる曲率のある湾曲形状ができるようになった。
           具体的には、棒状体を波状に形成して波状体とし、複数本の波状体を、その頂部同士で交差させて接合させることにより構成した立体構造体をベースにして検討を重ね、より広範囲に、且つ、より長期間虫よけ効果を持続可能な立体構造体の樹脂成形品(当社で「三次元クロスリンクメッシュ」と呼称する薬剤含有構造体)を開発するに至った。
           実証において、自ら自発的に「想像し」「見立て遊び」をすることがわかった。また、子どもの発達段階にあわせひとつで様々な遊びに展開することができることがわかった。
           実証において、自ら自発的に「想像し」「見立て遊び」をすることがわかった。また、子どもの発達段階にあわせひとつで様々な遊びに展開することができることがわかった。

        • 【大阪チャレンジ発明賞部門】
          平成27年度大阪発明奨励賞
          (敬称略)

          「自転車の車輪用広告板」
          (意匠第1514836号)


           
          藤 原 潤一郎(日本シェアサイクル普及協会)

          (背景と課題)
           北欧福祉先進国では都市交通政策として自転車専用道を整備し、「自動車」を抑制して「公共交通プラス自転車」への移行を推進している。その効果として、健康増進と要介護者の減少に伴う医療介護費の減少、病気欠勤の減少及び交通渋滞軽減にともなう企業労働生産性の向上、石油輸入収支改善、排ガス環境悪化の防止等が目標とされている。
           一方、我が国では自転車専用道が少なく、また都市中心部にみられる迷惑駐輪は自転車の普及を妨げるだけでなく、自転車の健康効果等の利点を発揮できなくさせている。付け焼刃対策として公共の預かり場があるが、双方とも駅前の狭い空地を長時間占拠させる難点があり、都市空間資源の無駄な消費となってしまっている。
           自転車の共用化は、迷惑駐輪と預かり場という駅前空間の長期占拠をなくす特長がある。
           本発明は、この共用自転車に広告収入を付随させ、自治体等によるレンタサイクル事業の運営を援助することにより迷惑駐輪及び預かり場による駅前空間資源の無駄をなくし、自転車利用の普及を推進して車社会の弊害を改善するものである。
          (本意匠の特徴)
           自転車車輪のスポーク内に広告板を分割して挿入するタイプで、外周部にスポークと同数の切込みを設けることにより、広告面積の最大化を実現した。
           ママチャリなど一般に普及する自転車に簡単に脱着でき、従来の広告設備のように車体から突出する部分がなく、全体が車輪内に収容されることから高速走行時でも脱落する恐れがない。
           広告板に直印刷するだけでなく、印刷物差込表示も可能で長短期両用の広告機能がある。
           また、共用自転車だけでなく、一般私有自転車にも取付けることができることから、自社宣伝はもちろん、一般個人の自転車も広告の媒体として活用することができる。
           さらに、視認性が高いことから、夜間など交通事故や盗難防止にも効果があり、商業目的以外の個人趣味など非営利の利用にも適性がある。



        • <お問合せ先>
           一般社団法人大阪発明協会 企画サービスグループ 
            電話:06−6479−1926(直) FAX:06−6479−3930
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