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平成28年度大阪優秀発明表彰 受賞決定


  •  昭和51年より、大阪発明協会は、大阪府において優れた発明を完成し、わが国の科学技術の発展に大きな足跡を残した人々の偉大な功績を顕彰するため、「大阪優秀発明大賞」を設立し、大阪府の産業社会の貢献した企業および発明者に対して表彰を行ってまいりました。現在は「大阪優秀発明大賞」部門と、中堅企業・中小企業を対象にした「大阪チャレンジ発明賞」部門による、「大阪優秀発明表彰」として表彰を行っています。
     そして今年度は厳正なる審査の結果、大阪優秀発明大賞1件、大阪チャレンジ発明賞2件を決定いたしました。表彰式は、平成29年2月7日(火)ホテルグランヴィア大阪にて大阪発明協会創立110周年記念式典と併催して挙行される予定です。

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  • 平成28年度大阪優秀発明大賞
    (敬称略)

    「電池式ガス警報器用超省電力ガスセンサ」
    (特許第5240767号)

     野 中   篤(大阪ガス株式会社)
     大 西 久 男(大阪ガス株式会社)
     中 山 敏 郎(元 大阪ガス株式会社)
     鈴 木 卓 弥(富士電機株式会社)
     岡 村   誠(富士電機株式会社)
     国 原 健 二(元 富士電機株式会社)


    • (背景と課題)
       従来のガス警報器は外部AC電源を必要としていたが、設置上の制約等を解消し普及率の向上を図るため、ガス警報器のコードレス(電池駆動)化が望まれてきた。しかしながら、都市ガスの主成分であるメタンの検知にはガス感応層(SnO2)を400℃以上に加熱する必要があり消費電力が大きくなることから、5年間の長期電池駆動化の実現のためには、センサの抜本的な省電力化(現行の数百分の1以下)を達成する必要があった。
      (本発明の特徴)
       発明者らは、長期電池駆動可能な世界初の超低消費電力センサの実現を目指し、従来は渾然一体化していたセンサの各機能(検知、選択性制御、加熱・遮熱、構造支持)を機能分離し、各要素機能の最適化開発に取り組んだ。このうち、検知機能を担うガス感応層としてメタンに対して高い感度を発現する新規の「ナノ柱状構造SnO2薄膜」を開発した。また、誤報原因成分となる水素、エタノール、CO等を選択的に燃焼させ、メタンのみを選択的に透過するガス選択燃焼層を開発し、これを積層して素子化することによりメタン高選択性を実現した(図1参照)。更に、このセンサ素子をMEMS技術により微小デバイス化し、検知の瞬間のみ加熱する極短パルス駆動方式を実現することによって、従来の約600分の1以下となる超省電力駆動を実現した。
       しかしながら、長期にわたる極短パルス駆動に伴うヒートショックによって経時的にガス感応層とガス選択燃焼層との界面の密着性が低下し、ガス感度が低下してしまうことが実用化の大きな課題となっていた。
       発明者らは、ガス感応層に対し新規の微細構造制御を講ずることによってガス感応層とガス選択燃焼層との界面に強固な結合力を生み出しつつ、ガス拡散には影響を及ぼさない技術を考案(図2参照)し、解決が困難と考えられていた前記課題を解決し、電池駆動センサの長期耐久性・信頼性の確立を成し遂げ、2015年5月の世界初の電池駆動ガス警報器を実現した。

    • 平成28年度大阪チャレンジ発明賞(敬称略)

      「トレーニング用足踏み式車いす」
      (特許第5724023号)


       
      小 牧 泰 之(株式会社をくだ屋技研)
       土 橋 健 志(株式会社をくだ屋技研)

       中 野 洋 一(株式会社をくだ屋技研)

       下 窪 裕 樹(株式会社をくだ屋技研)

       倉 田 純 一(学校法人関西大学)



      • (本発明の概要)
         本発明は、高齢者が車いすに依存した生活から解放され、自立した生活を送ることで健康寿命を延ばすことに貢献するものである。
         従来の車いすは、移動のための機器として使用されている。しかし、車いすに乗り歩行を行わなくなることは、足の筋力の低下を招き、車いすに依存した生活を余儀なくされる。本発明は、筋力の衰えた高齢者が日常生活を送りながら使用することで、筋力の回復を行えるトレーニング用足踏み式車いすである。この車いすを用いることにより自然に下肢のトレーニングが行われ、再び自らの足で歩行できることが可能となる。
        (本発明の構成と操作)
         本発明の車いすは、操作が簡単で、左右の足それぞれに用意されたステップを踏むことにより発生する水圧が、駆動輪を経由してタイヤを回転させ前進する。ステップを踏むことによる筋肉への負荷は3段階で調整可能であり、使用者の体の状態に応じたトレーニングが行える。疲れた場合には、ハンドリムを使用すれば通常の車いすと同様に前進・後進することもできる。また、車いすの下部にステップからの動力伝達機構を備えるが、通常の車いすと同様に折り畳みが可能な構成である。
        (本発明の効果)
         歩行に関する筋活動は、歩行時の表面筋電位測定結果が示すように前脛骨筋や腓腹筋がより重要であり、特に、前脛骨筋の運動機能の維持は、転倒を誘発する「つまずき」の防止のために不可欠である。
         本発明の車いす使用時の表面筋電位では、前脛骨筋が大きく変化し、前脛骨筋が活発に活動している。
         これより、本発明の車いすはトレーニング効果が高いことが分かる。


      • 「除菌力と洗浄力のある食品添加物アルコール製剤
         セキュアコール」の開発」

        (特許第5774762号)


       
      守 屋 貴 弘(株式会社ニイタカ)
       赤 阪 天 平(株式会社ニイタカ)



      • (はじめに)
         食品を取り扱う環境において、機械、器具及びテーブル等の洗浄作業は重要である。一般的に中性洗剤が用いられているが、食中毒をはじめとした食品安全問題が懸念されるようになった今日、微生物対策の重要性が増し、洗浄後にアルコール製剤による除菌が行われたり、除菌成分を配合した洗剤が使用されるようになってきた。しかし、洗浄と除菌の2工程を行うことによる作業効率の問題や、すすぎ不足による洗剤成分の食品への化学的汚染の問題もあり、それらを解決できる製剤が求められていた。
        (「セキュアコール」の開発)
         「セキュアコール」は除菌力だけでなく洗浄力を兼ね揃えた食品添加物アルコール製剤である。
         洗浄性能を引き出すためには界面活性剤が必要であるが、アルコール濃度が高い溶液中では界面活性剤の溶解性や機能の問題から洗浄性能を出すことができなかった。
         界面活性剤は種類によって特性に違いがあり、同じ種類であっても水と油の親和性(親水性‐親油性バランス=HLB)などが異なってくる。我々はアルコールと相性の良い界面活性剤とそのHLBの程度について検討した。その結果、HLBの高いショ糖脂肪酸エステルがアルコール濃度の高い溶液中でも洗浄性能を発揮することを見出した。さらに、HLBの低いグリセリン脂肪酸エステルを併用することで洗浄力がさらに上がることを発見した。また、有機酸と液性の検討からアルコールの除菌力にプラスしてウイルスに対する効果も確認し、従来の製品と比べて機能性の高い製剤に展開した。
         「セキュアコール」はコンセプトである除菌力、洗浄力、安全性を評価いただき、飲食店だけでなく保育園などの施設でも採用いただいている。
         今後も我々は「セキュアコール」の技術の応用及び新たな技術開発により、高品質・高使用価値の製品・サービスの提供に取り組み、食の安全・安心に貢献していきたい。


    • <お問合せ先>
       一般社団法人大阪発明協会 企画サービスグループ 
        電話:06−6479−1926(直) FAX:06−6479−3930
           mail: members@jiiiosaka.jp