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一般社団法人大阪発明協会
TEL.
06-6479-1910
〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53
令和元年度大阪優秀発明表彰
受賞決定
昭和51年より、大阪発明協会は、大阪府において優れた発明を完成し、わが国の科学技術の発展に大きな足跡を残した人々の偉大な功績を顕彰するため、「大阪優秀発明大賞」を設立し、大阪府の産業社会の貢献した企業および発明者に対して表彰を行ってまいりました。現在は「大阪優秀発明大賞」部門と、中堅企業・中小企業を対象にした「大阪チャレンジ発明賞」部門による、「大阪優秀発明表彰」として表彰を行っています。
そして今年度は厳正なる審査の結果、大阪優秀発明大賞1件、大阪発明奨励賞2件、大阪チャレンジ発明賞1件を決定いたしました。表彰式は、令和2年1月23日(木)大阪大学中之島センターにて挙行されました。
令和元年度大阪優秀発明大賞
(敬称略)
「散薬調剤ロボット」
(特許第6308395号)
浅 岡 千 晴(株式会社湯山製作所)
吉 名 克 憲(株式会社湯山製作所)
岩 谷 高 志(株式会社湯山製作所)
小 田 智 生(株式会社湯山製作所)
(背景)
薬剤師による調剤業務には、取り扱う薬剤として、散薬、錠剤、水剤といったものがある。錠剤は包装や錠剤に付された印字等で薬種が確認でき、計数も可能であるが、散薬は粉末状であるため、患者ごとに処方に基づく薬品について容器を確認し、バーコード等でチェックを行い、処方された量の合計を計算し、正しく秤量したのちに一服用分毎に分割し分包しなければならない。
(課題)
これまでも、散薬の配分、分割、分包においては自動散薬分包機を使用して行われていたものの、薬種の選択と秤量は、薬剤師によって行わなければならず、時間と手間がかかるだけでなく、薬種選択や秤量を間違えない十分な注意が要求され、これらの課題を解消する完全なる自動散薬分包機が求められていた。
(本発明の特徴)
本発明は、散薬の調剤業務を完全自動化した調剤ロボットに関するものである。医師によって出された処方情報の受信、処方に基づく対象薬品の選択、必要な処方量の秤量及び配分、一服用分ごとの分割・包装といった一連の調剤作業を全て自動で行う世界初の散薬調剤ロボットである。装置本体には、薬種ごとに識別可能な散薬カセットが回転棚に複数収容されており、ロボットは処方情報に基づく対象カセットを自動で正しく認識し選択することで、従来の人手による薬剤収集の手間と間違い発生の恐れを解消している。また、選択された散薬収容カセットを振動フィーダーに載置し、振動を付与して散薬を環状の分配溝に排出しながら、同時に秤量を行うことで、処方情報に基づく散薬の量をリアルタイムに計測しながら処方量を高精度に排出できることを実現した革新的な技術である。
(実用化)
本発明を使用したDimeRo、DimeRoⅡ、mini DimeRoは、2015年4月に発売を開始し、 2019年4月現在において日本国内では763台の実績があり、本装置の導入により、薬剤師が調べる時間、考える時間、患者様と向き合う時間を創出し、調剤業務の質の向上に大きく貢献している。
令和元年度大阪発明奨励賞
(敬称略)
「低空気比・低Nox燃焼技術(HiLECT®)」
(特許第6116545号)
古 林 通 孝(日立造船株式会社)
伊 藤 華 子(日立造船株式会社)
安 田 俊 彦(日立造船株式会社)
重 政 祥 子(日立造船株式会社)
(背景と課題)
ごみ焼却施設において、焼却炉から排出された低酸素濃度の排ガスを再び炉に吹き込む「排ガス再循環」技術は、より低空気比での安定運転が可能となるため、発電効率の向上や排ガス中のNOx濃度の低減に効果的である。 当社のストーカ式ごみ焼却炉において排ガス再循環システムを用いる場合、従来は、再循環ガスノズルを、二次燃焼室入り口付近にある二次空気ノズル直下に配置していた。この場合、ごみ層から排出される燃焼ガスは、二次空気と再循環ガス(RFG)に吸引され二次燃焼室側に真直ぐに立ち上がって燃え盛るため、NOx発生の抑制には好ましくなかった。また、高温の燃焼ガスが二次燃焼室側に真直ぐに立ち上がるために、一次燃焼室内のごみ層が均一に加熱されず、焼却灰中に未燃分が残留することや、廃熱回収蒸気発生が不安定になる場合があった。
(本発明の特徴)
本発明では、炉内のごみの進行方向に対して、後流側の炉の後壁および/または前流側の乾燥用火格子の上方に位置する炉の天井壁から、炉底の火格子に直接当たらないように、かつ燃焼ガスを引き寄せるように高速でRFGを供給することで、燃焼ガスが一次燃焼室内に行き渡ってごみ層全体を加熱するため、NOxの発生抑制のみならず、焼却灰中の未燃分の完全燃焼を可能にするとともに廃熱回収蒸気発生の安定、すなわち発電効率の向上を実現した。本発明が採用された施設は国内で10カ所あり、うち5カ所がすでに稼働中である。
「新幹線用レール転倒防止装置」
(特許第5562770号)
楠 田 将 之(西日本旅客鉄道株式会社)
山 口 義 信(西日本旅客鉄道株式会社)
山 根 寛 史(公益財団法人鉄道総合技術研究所)
若 月 修(公益財団法人鉄道総合技術研究所)
柳 川 秀 明(公益財団法人鉄道総合技術研究所)
野 本 耕 一(公益財団法人鉄道総合技術研究所)
(背景と課題)
走行中の新幹線が大地震に遭遇した際に、万が一、新幹線車両が脱線した場合でも停止するまで、車両の大幅な線路からの逸脱による被害拡大防止が求められる。対策の一つとして、車両台車に取り付けられたL型ガイドと本線レールを利用して脱線車両を本線路内で誘導する方策が考えられる。このとき、本線レールは所定位置に固定されている必要があり、脱線車両の車輪とレールをまくらぎに取り付ける装置(レール締結装置)とが衝突した際に、まくらぎやレール締結装置が破壊されることを防ぐ必要がある。既設のまくらぎ及びレール締結装置の構造のままで設置可能な防護工が出来れば、日常の線路保守管理の大幅な変更を求めずに効率的に防護工の敷設が可能となり、早期の対策構築が可能となる。
(本発明の特徴)
本件発明は、脱線車両の車輪との衝突で生じる衝撃力からレール締結装置およびまくらぎを保護し、本線レールを活用した車両誘導対策を有効にする装置である。 本件発明の主たる構成部材は、レールの内外側に設置される一対の防護金具である。L型車両ガイドが本線レールに誘導された場合と脱線車両の車輪自体が本線レールに誘導された場合のいずれにおいても、左右両車輪が防護金具上を走行する形状として設計している。この防護金具を連続してまくらぎ上に設置することで、車輪の衝突による衝撃力を緩和し、レール締結装置の板ばねやまくらぎを破壊から防護する構造となっている。
また、既設の新幹線線路に敷設されたレール締結装置の取付ボルトを変更せず、そのまま利用して設置する構造であり、敷設にあたりまくらぎの取替や後施工アンカーの設置などの追加工事を伴わず、少ない部品点数で汎用工具を用いた簡易な施工により設置が可能である。更に、既設のレール締結装置の板ばねがレール底部を締結する構造に変更を求めず、同時に従前通り目視によるレール締結状態の視認が可能な形状が考慮されており、日常の線路保守方式の変更も求めない構造としている。
令和元年度大阪チャレンジ発明賞
(敬称略)
「食品・化粧品用携帯アルコール検知器」
(特許第6419999号)
高 島 靖(日本技術活用研究所)
(背景)
乳幼児、妊婦、並びに、疾病、体質及び宗教上の理由等によってアルコール摂取が制限されている者(以下、アルコール摂取制限者)が存在するにも係わらず、アルコール含有の有無の表示がなされていない食品も市場に流通している。こうした中でアルコール摂取制限者がアルコール含有食品を誤食する事態を防ぐには、アルコール検知器を用い、アルコールが食品に含有されているか否かを確認することが望ましい。従来のアルコール検知器(以下、従来技術)としては、呼気を半導体センサに吹き付け、呼気中のアルコールを検知するものがある。従来技術を用いる場合には、被験物である食品からアルコール検知器に向かう気流を発生させ、当該気流を半導体センサに接触させる必要がある。しかし、気流は外気の流れに影響を受けるため密閉空間でなければ高精度に検査できず、簡易にアルコール含有の有無を検査することは困難であった。
(本発明の特徴)
本発明品は、特有の吸気面、ガスセンサ、ファンを備え、特有の吸気面は中央部に設けられた吸気口の他、その周囲にスリット形状の開口を有する。本発明品によれば、特有の吸気面を被験物に対向させた状態でファンを駆動することで、被験物からガスセンサに向かう気流を発生させることができる(図1参照)。係る場合、吸気面に設けられたスリットによって吸気口に流入する気流をラッパ形状とさせることで(図3参照)、被験物から揮発したアルコール成分を、外気の流れの影響を抑圧して直進性をもってガスセンサに接触させることができる。これにより、従来技術のように密閉空間を設けなくとも被験物のアルコール含有の有無を高精度に検査できる。なお、スリットが設けられていない場合の気流を示す図2と、スリットが設けられた場合の気流を示す図3を比較することで、スリットによる気流の直進性向上という効果を確認できる。
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