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平成30年度大阪優秀発明表彰 受賞決定


  •  昭和51年より、大阪発明協会は、大阪府において優れた発明を完成し、わが国の科学技術の発展に大きな足跡を残した人々の偉大な功績を顕彰するため、「大阪優秀発明大賞」を設立し、大阪府の産業社会の貢献した企業および発明者に対して表彰を行ってまいりました。現在は「大阪優秀発明大賞」部門と、中堅企業・中小企業を対象にした「大阪チャレンジ発明賞」部門による、「大阪優秀発明表彰」として表彰を行っています。
     そして今年度は厳正なる審査の結果、大阪優秀発明大賞2件、大阪発明奨励賞1件、大阪チャレンジ発明賞1件を決定いたしました。表彰式は、平成31年1月23日(水)大阪大学中之島センターにて挙行されました。



  • 平成30年度大阪優秀発明大賞
    (敬称略)

    「陸上設置型フラップゲート式防潮堤neo Rise®」
    (特許第5762822号)

     仲 保 京 一(日立造船株式会社)
     山 川 善 人(日立造船株式会社)
     森 井 俊 明(日立造船株式会社)
     乾   真 規(日立造船株式会社)
     木 村 雄一郎(日立造船株式会社)

    • (背景と課題)
       2011 (平成23)年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、大規模な津波をともない、死者・行方不明者約2万2千人、建物被害(全半壊)約40万戸という甚大な被害が発生し、エネルギー・交通・情報といった社会基盤にも壊滅的被害をもたらした。 そうした危険の中で人々の命を救うため、陸閘や水門の閉鎖・状況確認に関係して多くの消防団員が殉職されたことは、今後の防災・減災計画を考える上で解決すべき大きな課題となった。2012年8月の内閣府報道発表資料には“対策は全て素早い避難の確保を後押しすべき”と明記されており、今後求められる津波対策の方向性が示されている。
      (本発明の特徴)
       本発明は、津波や高潮の浸入を防ぐ防潮堤の開口部(陸閘)に設置され、増水した水が生活空間に流れ込まないよう、扉体が基端側を支点にして起立揺動可能に構成して開口部を遮断する浮体式フラップゲートに関するもので、津波や高潮の襲来時の浸水に伴う浮力によって扉体が起立する。このため、人的な操作を必要とせず、操作者が危険にさらされることがなく、かつ操作ミスや操作忘れ、操作遅れによる不稼動リスクも回避できる革新的な技術である。  本発明の特徴は、扉体先端部にロープの一端を取付け、扉体の先端および基端の上方に設けた2つの定滑車を介してロープの他端にカウンタウエイトを取付けて、扉体が水平面に対して設定角になった時にカウンタウエイトが最下点となり、設定角を分岐点として扉体が起立または倒伏する際に補助から抵抗に切り替わることである。  本発明を使用した「陸上設置型フラップゲート式防潮堤 neo RiSe®」および関連製品は、2013年から販売を開始し、2018年9月末現在の施工実績(施工中を含む)は日本国内で126基にのぼっている。今後はアジア・米国を中心に海外展開予定である。









      「耐熱レンズ」
      (特許第5647702号)

       中 林   誠(住友電気工業株式会社)

      • (背景と課題)
         本発明は、光通信、センサ等に用いる樹脂製の耐熱レンズに関するものである。電子機器の小型化、高密度実装に対応するために、回路基板への部品実装方法として、鉛フリーハンダによる表面実装(SMT)が一般化されている。ところが、一般に透明な熱可塑性樹脂は、加工性や入手性に優れる反面、SMTには耐熱性(最高約260℃)が不足しており、熱により変形したり、酸化による着色のため透過性が低下する。このため、熱可塑性のレンズをSMTで実装することはできなかった。一方、ガラスや熱硬化性光学樹脂は、耐熱性はあるが、射出成形には不適であり、脆さ、成形サイクルが長い、複雑かつ精密な金型の製作が困難、などの課題があった。
        (本発明の特徴)
         当社では、従来からポリエチレン等の熱可塑性樹脂を、電子線等の放射線照射により架橋させ、耐熱性を付与する技術があり、耐熱電線、熱収縮チューブに適用している。しかしこれらの材料は透過性が低く、実装温度(260℃)での弾性率も低い。このため、SMTで実装するレンズとしては適用できなかった。今回、ポリアミド、フッ素樹脂、環状ポリオレフィン等の熱可塑性透明樹脂を成形後に架橋することにより、SMTで必要となる耐熱性(270℃での貯蔵弾性率0.1MPa以上と見出した)を上回る成形体を得ることができた。また、実装による加熱を経ても、光通信やセンサで要求される650nm~850nmでの透過率は約90%を確保することができた。特に、透明ポリアミド等のエンジニアリングプラスチックを架橋すると、透過率と耐熱性が高い領域で両立する。これにより、射出成形ができるなどの熱可塑性樹脂の加工性の良さを活かしたまま、SMTに対応できるレンズの量産に成功した。現在、この耐熱レンズは、テラリンク®として実用化し、自動車、スマートフォンなどの分野で、ご採用いただいた。今後は、データセンタ等での通信用途での拡販を期待している。





      • 平成30年度大阪発明奨励賞(敬称略)

        「耐震補強金具」
        (特許第5242493号)

         戸 次 浩 之(大成機工株式会社)

        • (背景と課題)
           災害に強いインフラ整備として水道用ダクタイル管を更新する中で、道路事情や埋設状況、予算などの諸事情により耐震管への布設替えが困難な場合や、継手部の阻止力は小さいが管体は健全なものが多用されている現状がある。過去の震災でダクタイル管の継手部の抜けが多発したことを受けて、抜けに対して阻止力の弱い継手部のみを部分的に補強することが出来れば、効率的に管路をメンテナンスし、かつ、離脱阻止力のグレードアップが出来、耐用年数に満たない非耐震管の早期対策が可能となる。
          (本発明の特徴)
           耐震補強金具は継手外周から後付けで設置できる分割形状とすることで、通常の管路更新時に発生する断水やバイパス工事を無くし、周辺住民への影響や予算を最小限に抑えられる。このため施工計画、工期管理が行いやすく、継手部のみの掘削で済むため建設副産物の低減になる。汎用工具で施工が可能とし、施工時間は5~60分(口径75~1000mm;土木別途)であるため、緊急対策としても有効となる。
           発明の主たる部分の一つはクサビ構造にある。受口と挿し口がゴム輪を介して接合された既設管継手に対して、挿し口外周を離脱阻止力が得られるよう複数個のクサビを押し込む構造で、かつ、管外面と接触する部分は、管への傷等の発生を軽減するよう、円周上に最小限の隙間で連続に配置している。受口側はフックの引っかけ構造とすることで、既設管の外径や地盤変動で継手が既に屈曲している等の状態差に対応可能とし、設置後も従来の継手の曲げ性能が確保出来る。もう一つは施工性である。呼び径350~1000mmの耐震補強金具は各分割片をばらさずに、下部一箇所のみを開放し、吊った状態で開く形状によるオートポジション(管に被せる形)で既設管に耐震補強金具を被せることが出来る。これにより、荷下ろし一回でクレーン等の占有時間を短縮し、耐震補強金具の各片をばらさないことで、接合時間の短縮と管下接合時の作業者負担の軽減を図っている。





        平成30年度大阪チャレンジ発明賞(敬称略)

        「R面取りツール「Rカッター」」
        (特許第5589244号)


         
        緒 方 達 也(大昭和精機株式会社)
      • <お問合せ先>
         一般社団法人大阪発明協会 企画サービスグループ 
          電話:06-6479-1926(直) FAX:06-6479-3930
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