一般に外国出願を考慮する際には、企業の戦略的観点から米国出願が中心におかれ、明細書及びその翻訳文も米国出願の実務に合わせて作成されるのが通常であると思われます。そして、時間的・労力的な理由によって、欧州特許の出願には、米国用の明細書をそのまま転用していることが多いのではないでしょうか。
しかし、米国用明細書をそのまま欧州特許出願に利用することは、実際はかえって、無駄な経費や審査の遅延を発生させる可能性が高いと言えます。しばしば、実体的な審査の前に形式に関する拒絶理由が出され、そのことによって拒絶理由への対応回数が増大することがあるからです。
また、欧州特許の審査実務を考慮せずに作成した明細書は、十分な内容の権利を取得できない結果をもたらすこともあります。欧州特許においては、米国とは異なり、継続出願がなく、また大変に厳しい補正の制限が課されているからです。欧州特許出願の明細書の作成時には、補正の制限の厳しさ及び新規事項追加違反がもたらす解決不能なジレンマを考慮しなければいけません。
さらに、出願時には優先権主張にも特別の注意を払う必要があります。優先権主張の前提となる「同一発明」の概念が大変に狭いため、後の出願においては変更部分に優先権の効果が得られないことがあるからです。そのため、一連の日本出願を基礎とした欧州特許出願をする際には、優先権を十分に考慮した出願戦略を練る必要があります。
本講座では、上記問題点への対処方法について、実務的な観点からの解説を行います。最新情報を取り入れた詳細なテキストを配布させていただきますが、特に、講義では具体例を中心に説明していきます。講師は、欧州特許出願に経験豊富な
Mr.Fritsche 氏です。
ぜひこの機会に多数の皆様にご出席いただけますよう、ご案内申し上げます。
1.日 時 平成16年12月7日(火) 13:30〜16:30
2.会 場 大阪科学技術センター 404会議室
(大阪市西区靱本町1−8−4)
※会場地図はこちらを参照下さい
3.講 師 Rainer Fritsche 氏
欧州特許代理人 Eisenfuhr, Speiser&Partner
(Munchen)事務所
機械工学士(専門分野:工作機械、流体力学)、経営学士
※ 英語による講義で、日本語による逐次通訳を行います。
※ コーディネータは、日本人弁理士である渡辺尚(新樹グローバル・アイピー特許業務法人)が務めます。
4.定 員 60名
5.受講料 会員 8,000円 非会員 11,000円 (外国工業所有権セミナーメンバー1,000円引き)
上記受講料には、テキスト代および消費税を含んでおります。
6.申込方法 申込書に必要事項をご記入の上、FAX・郵送またはEメールにてお申し込み下さい。
折り返し、聴講券をお送りいたします。申込書(Word形式・Zip形式に圧縮)
7.締め切り なお、定員に達し次第受付を締め切らせていただきます。また、開催日含め3日以内のキャンセルの場合受講料はお返しできませんので予めご了承下さい。
<プログラム>(予定)
1.ヨーロッパ特許出願用明細書の作成(米国用明細書との比較)
(1) クレーム
・出願当初より、広い権利範囲を記載しておくことの重要性
・一つのカテゴリーに一つの独立クレームの原則と実務 −例外はどのような場合か?−
(2) 明細書
・先行技術の記載 −何をどのように、どの程度書けばよいのか?−
・技術的課題の記載が重要な理由 −課題・解決アプローチとの関係−
2.優先権主張
・優先権主張の対象となる「同一発明」とは何か?
・複数の優先権主張をした場合に注意すべき点
3.補正の制限
・新規事項追加違反がもたらす深刻な問題 −権利拡張補正・訂正の禁止−
・審判の決定から見た許される補正と、許されない補正
※ Q&Aの時間を十分に確保して、皆様方のご質問にお答えします。
セミナー参加の申し込み・問い合わせ先
社団法人発明協会大阪支部
TEL 06−6779−5473 FAX 06−6779−1274
E−mail jiii-ob@oregano.ocn.ne.jp